郵政民営化問題について

 先日の八月八日、参議院において郵政民営化法案が否決され、即座に衆議院が解散されました。衆議院採決の段階においては喧々諤々の議論の末わずか五票差で可決、衆議院を通過。しかしながら参議院において否決されたということで、国会全体の意思は郵政民営化に反対ということになったのです。小泉総理の意図としては「そんなはずはない。国民は民営化を望んでいるはずだ。もう一度国民にその意思を聞いてみよう」という意味での国会解散でした。

私自身としてこの解散はまさに急な夕立にあったような思いですが、考えてみるとこのような重要な問題について主権者である国民の皆様に十分説明をし、そして理解を得る努力をすることが、国会議員としての最も重要な勤めだと思い、今一生懸命に地元を歩いているところです。

私は衆議院における採決では賛成をしました。その理由は、まず一年九ヶ月前に行われた前回の衆議院総選挙において自民党は郵政民営化を公約しており、その法案が掛かった時に自民党の衆議院議員の取るべき態度が反対であってはいけない、と思ったからです。また、この法案は必ずしも完璧な法案ではありませんが、少なくとも国民にとって大変なメリットがあると考えたからです。

その理由は次の通りです。我々の身近なところで考えますと、郵便料金があります。現在の日本では、手紙を出す時に八十円の切手を貼りますが、この料金はアメリカの郵便料金の倍以上。したがって私の知っている中小企業の社長の中には、五万部、十万部という大量の郵便物を出す際にはわざわざ香港やアメリカへ持っていき、そちらから送っている方もいるのです。それほど日本の郵便料金は高いと言えるのです。

なぜこれほど高いのかといえば、従業員も出先事務所も多過ぎるからでしょう。現在郵便局は公社でありながら国営であり、従業員は三十八万人、郵便局の数は二万四千八百あります。これを仮に民間で運営するとなれば、従業員も出先事務所も大幅に減らすことが可能でしょう。以前民営化されたNTTも、民営化前は従業員が三十一万人いました。それが現在では約二十万人と聞いています。また国鉄もJRになり大幅な人員削減がなされています。このようにリストラを図り組織を簡素にすることは当然コスト削減となるので、郵便料金もおそらくは半値に近づくのではないでしょうか。

もう一つ、マクロ的な経済メリットもあります。郵便局には現在三百四十兆円という膨大な貯金があります。これは民間の四大メガバンクの総預金量二百二十兆円と四大生命保険会社の総契約額百二十兆円を合わせた額に匹敵します。これを人間の肺で例えると、右の肺は完全に民間で運営されており、左の肺は完全に国営で運営されていた、ということになります。郵政民営化というのは、この国営の経済を完全に民営化しようというものです。

そしてこの膨大なお金が従来どのように使われていたのかというと、全額国に預けられ財務省(以前の大蔵省)資金運用部がその運用を図っていたのです。そして道路公団の道路、あるいは住宅公団の住宅等の建設に使われていたのです。それはもちろん戦後の日本の荒廃した国土を復興するのに今まで大きな役割を果たしてきたことは事実です。しかし二十一世紀初頭の現時点に立って考えれば、このようなインフラ整備はほぼ充足に近い状態にまできており、なおかつこれを継続することは無駄な道路や住宅を作ることに繋がりかねません。つまり役所がこの巨大な郵便貯金の資金を勝手気ままに使わないようにしようというのが小泉総理の発想です。したがって役所が使わなければ民間が使う。つまり郵便貯金を民営化するということが必要になったのです。民営化されるということは一般の企業ないし個人がこの膨大ない資金を利用出来るということであり、つまりお金の流通がよくなるということです。当然、景気はよくなるでしょう。

事実、先週八月八日に参議院において郵政民営化法案を否決した時には、瞬間三百円ほど日経平均株価が下がりましたが、小泉総理が衆議院を解散し何が何でも構造改革の象徴としての郵政民営化を実現するという強い意思を示した途端、株価がどんどん上がり一万二千三百円という今年最高の値段を付けました。これは外国人による日本買いが始まった証拠です。つまり構造改革が進むのであれば日本の景気は良くなる、日本は買いである、と判断したからなのです。

また、民営化を行っても利用者である国民の利便性はまったく変わりません。今ある郵便局は民営化後も現在と同じネットワーク水準が維持されます。したがって過疎地の郵便局は廃止されることはなく、また我々の南河内地方においては銀行の数も非常に少ないですから、その役割を果たしている郵便局は存続すべきであり減らすわけにはいきません。

このような理由から郵政民営化を進めるべきだと考えていますが、民主党はこれに対して反対しています。なぜか?それはおそらく強力な郵政の労働組合に手足を縛られているからでしょう。政治の世界には保守と革新というものがありますが、革新であるはずの民主党が現状の保持にこだわり、保守であるはずの政権与党である自民党が一生懸命改革しようとする。まったく保守と革新が逆転した奇妙な現象が今起こっているのです。

日本はすでに世界の大国であり、日本の動向を世界各国が見つめています。日本が右を向くか左を向くか、それは大変なことです。そのような意味において、いまこの郵政改革を実現しなければ日本はこれから先ずっと停滞することに繋がりかねない。そのように私は思うのです。

小泉改革はこの四年四ヶ月の間、「官から民へ」「中央から地方へ」という流れを作ってきました。民間が仕事をしやすくし、国際競争力を高め、民間主導の経済成長を図ろうとしたのです。したがって従来は官が果たしていた役割、例えば許認可権限を出来るだけ少なくし、企業や個人に自由に行動させ、後から事後チェックすることによって社会のルールを守らせる、という仕組みに変えていこうとしているわけです。したがって「地方に出来ることは地方に任せる」という意味で補助金改革、税源移譲、交付税改革を一体とした地方分権改革を進めたのです。このような政策の結果として、長く経済を苦しめた不良債権問題は小泉政権下で完全にトンネルを抜け出し、GDPは実質、名目ともにプラスに転じました。また最悪時五.四%だった失業率は四.二%で下がり、最悪事七千円台だった株価も現在一万二千円台に達しています。

このように国全体の活力が復活し、さらに成長を目指して一歩一歩歩んでいるのが現代の状況です。こういった改革を一気に加速させるのが郵政民営化だと言えるでしょう。




戻る