1:ワイル・シティグループ会長との面会
4/4午前11時より約1時間、シティバンク本部を尋ね、サンフォード・ワイル会長と面会しました。私は、彼が最近自伝を出版したことを知っていたので、彼の歩んできた道を含め、様々な経験を伺いたいと面会を申し込んだところ、快く引き受けてくれた。彼は小泉首相と2人で写った写真を私に見せ、「小泉氏は日本を開放した。よろしくお伝え下さい。」と非常ににこやかな様子でした。
私はまず始めに、米国経済の今後について伺った。彼は、「米国経済は堅調である。経済成長率は順調に推移し、インフレは低水準に抑制されており、企業業績も好調である。FRB(連邦準備銀行)フェデラルファンド(FF)レートの引き上げももうすぐ終了すると見込まれており、個人消費は依然として力強い。」と話した。現在FFレートは4.75%、市場ではあと0.25%の引き上げは見込まれている状況を考えると、彼の意見もよく分かるところです(※5月末現在では既に5.0%)。
私は、米国の過去十年以上に渡る長期の好況の理由は、IT産業の隆盛と住宅市場の好況の二本柱ではないかと考えてきたが、今後の米国の住宅市場がどのような動向を示すかを伺ったところ、「確かに、短期金利は引き上げられてきたが、モーゲージ金利は長期金利、一般的には10年物米国債金利に連動している。現在のところ、長期金利は低水準に留まっており、住宅市場に悪影響を与える状況にはない。また、多くの消費者はローンの返済も行っていることから、家計債務残高の増加率はあまり高くなく、消費を抑制するという状態にはない。」とのことであった。
また、シティバンクのグローバルな事業展開について伺ったところ、彼は「日本の金融機関は回復しつつあり、金融市場も成長を遂げており、今後も有望と見ている。シティグループも、1998年に日興證券と提携を行ったが、極めてうまくいっている。プライベートバンク部門に関しては、規制当局の指導に適切に対応できず大きな迷惑を掛けたが、そうした反省を十分踏まえ、日本でのビジネスを推進していきたい。シティバンクとしては、日本の銀行のATMの利用時間が限られた状況が続く方がありがたいよ。」などとジョークを交えて笑っていた(※シティバンクのATMは24時間作動)。
次に、ワイル会長は近々退任されると伺っていたため、退任後はどのような活動に従事される予定かを聞いてみた。彼は「私は1971年にブローカー会社の会長になってから、その職を35年間務めてきた。そのため今後は、まずは妻と一緒に過ごす時間を大切にしたい。また、大きな幸運に恵まれ財産を蓄えることができたが、この財産を様々な社会貢献活動のために残さず使い切りたい。加えて、各国のビジネス・リーダーのネットワーク形成の場を提供し、異文化間の相互理解を促進する役割をも果したいと考えている。」と話した。
この発言を聞き、私は考えた。米国の成功者は皆、一定の年齢に達し蓄財を終えると、最後の仕事として社会貢献活動に必ず携わる。更には、余力を持ってビジネスリーダーの育成に当たるなど、文化的活動も行っている。これは一つの成功者のパターンなのだと思う。財界人についても同様で、例えばカーター元大統領の多彩な活動などはその象徴とも言えるものだろう。
最後に日本の将来について、また今の日本の若いリーダーに向けてコメントを頂きたい、また日本にも来て頂きたいとお願いしたところ、彼は「私も是非そうしたいと考えている。日本は、小泉総理のリーダーシップの下で構造改革を推進されてきたが、今後もこの改革路線が継続されることを願っている。」と言ってくれた。
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