障害者授産施設を視察

1 はじめに

 障害者福祉政策は、障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともに生き生きと活動できる社会を目指して行われてきました。平成15年度からは、行政によるお仕着せの福祉ではなく、利用者本位のサービスを受けることができるように、支援費制度が導入されています。支援費制度自体については、予算確保の問題もあり、様々な意見があることも事実ですが、現在、政府においてさらに障害者福祉政策を充実するための検討が進められています。

 とりわけ障害者の就労は、障害を持つ人が自立した生活をするためには避けて通れない課題の一つです。障害者の就労支援のためには「授産施設」や「小規模作業所」など、様々な福祉施設がありますが、実態を見ると違いがわかりにくくなっており、施設の果たしている機能に着目した再編成が必要ではないかという意見もあります。そこで、このたび、いくつかの就労支援のための福祉施設を訪問し、意見交換をしてまいりました。以下でそれぞれの施設の概要と様々なご意見をご報告させていただきます。

2 各施設の状況

【ワークメイト聖徳園(身体障害者・知的障害者通所授産施設)】


(ワークメイト聖徳園の皆さんと)
 ワークメイト聖徳園は、身体障害や知的障害のある方約70名が活動している通所授産施設です。

100円ショップで取り扱われるプラスチック製のフックの製造や、ビニール袋の製袋、写真植字、さをり織り、花苗の栽培などのほか、喫茶店も開いて地域との交流を深めています。

 高い品質の製品を作ることで信頼を積み重ねており、現在では、一人当たり平均で月2万2千円、最高では約6万円の工賃を上げているとのことです。
しかし、福祉施設でありながら、一方で地道な営業活動や製造技術の習得など、多方面の知識・能力を求められる職員の方のご苦労もあるようでした。

また、日本の製造業が中国などに転出してしまう流れの影響も無縁ではなく、新しい仕事の確保などの面で政府の支援が強く求められていると実感いたしました。

(明るい雰囲気の喫茶店)


【白鷺園(知的障害者通所授産施設)】


(襖の張り替え作業の様子)
 白鷺園は知的障害のある方々60名が活動している通所授産施設です。

 襖の張り替えや萱の布巾などを作るほか、清掃作業などを行っています。工賃を上げることとともに、新たな就職に役立つ研修に力を入れており、就職に役立つパソコンのスキルやコミュニケーション・スキルの取得などを進めいるとのお話でした。その結果、今年度は既に6名の方が新たな職場を開拓されたそうです。

 知的障害のある方は、職場での人間関係などに慣れるのに時間がかかるため、就職前のコミュニケーション・スキルの訓練はもちろんですが、就職後のサポートにも心がけているそうです。


 【やまびこの家(精神障害者小規模通所授産施設)】

 やまびこの家は精神障害のある19名が活動している小規模通所授産施設です。なかなか工賃をあげる製品を取り扱うことは難しいということですが、昨年開設された精神障害者地域生活支援センターが併設されていることもあり、地域の方々と精神障害のある方々との交流の場として活動を続けているそうです。

 また、介護保険制度の見直し議論の中で、被保険者の範囲を拡大して障害者も利用できるようにするという論点がありますが、体調が変動する方の要介護認定が難しいということでした。今後の議論の中で十分に検討していかなければなりません。


3 おわりに

 今回、福祉の最前線を訪問することで、障害者の方々や、ご家族、職員の方々の活発な経済活動を垣間見ることができました。しかし、通所授産施設で100円ショップの商品作っていることなどを知っている人は必ずしも多くないのが現状です。障害者は特別に行政が支援するという意識ではなく、地域の一員としてわけへだてなく生活することができる社会とする必要があります。

 そのためにも、こうした通所授産施設や小規模作業所での活発な活動を地域の方々に知ってもらうことが大切であり、私も微力ながらこうした活動の支援や普及に一層努めていきたいと考えております。



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