近 況 報 告 2002年 11月

小泉政権の歩みを振り返って

 皆さんこんにちは。日頃より温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。本年も年末が目前に迫り、時の流れは本当に早いものだと感じるばかりです。まず簡単に、最近の活動報告をさせて頂きます。



 八月中旬には南米諸国を訪問し、九月上旬には米国を訪問しました。どの国にも様々な案件を抱えての視察でしたが、このような機会に外から日本を見ると、その姿や置かれている立場を改めて認識することができ、国政の立場から対処すべき問題が数多くあることをいつも強く感じます。今後も世界における日本の立場を念頭に置き、様々な問題に取り組んでいきたいと考えています。
 また九月には中国を訪問しました。日中国交正常化三十周年記念の交流式典が北京にて開催され、日本の国会議員五十名ほどで出席いたしました。江沢民国家主席と胡錦涛国家副主席も出席され、植樹祭などの様々なイベントに参加しました。その後、上海郊外の寧波(にんぽう)へも立ち寄り、日本企業の進出状況を見て参りました。


 さて小泉政権になり一年数ヶ月経ちましたが、皆様はどのように評価されるでしょうか。私は、良くやっているという印象を持っています。先般の北朝鮮訪問などは、世界的にも大きく取り上げられています。韓国では「小泉首相は素晴らしい。なぜ金大中大統領はそうしないのか。」という話も挙がっているようです。今回の拉致問題では八名の方が亡くなられていると報道され、私も大変なショックを受けました。痛恨の極みであり、拉致被害者のご家族やご関係者の方々には、お掛けする言葉も見つかりません。
 小泉首相は、死亡者がいると分かった時点で会談の席を立ち、帰ってくるべきであったという意見は、国民の中にもあったと思いますが、自民党議員の中にもありました。しかし私は「亡くなった方々はどう手を尽くしても帰ってきてもらえない」というつらい現実を考えると、席を立ち何もせずに帰ってくるわけにはいかなかったと思います。今後、日朝の国交回復に向けた話し合いを行うとした調印は、政治家としての苦渋の決断であったと思います。これにより、一応のところテポドンの脅威もなくなり、核開発の可能性についても査察を受け入れるという雰囲気の発言もあったようです。当面の安心を取り戻したという意味では、小泉首相は良くやったと思います。そして何よりも、小泉首相自らが訪朝を決断した勇気を讃えたいと思います。外務省などの役所と打ち合わせをするだけでは、今回の訪朝はなかったように思いますが、これでは埒があかないと判断した小泉首相により実現したのではないでしょうか。
 従来より、日本の政治は役所が握っており、政治家はお飾りという雰囲気がありました。戦後、役所の努力によって日本がそれなりにうまく運営されてきた事実を見ると、政治家がどれだけの指導力を発揮できるのかという疑問が、国民の中にあってもおかしくはないと思います。しかし小泉首相の誕生により、ハンセン病問題や北朝鮮問題など、様々な問題について役所の意見を超えた政治判断がなされました。数多くのヒットを打つわけではないが、要所では特大のホームランを放つという感じでしょうか。ヒーロー的というよりは救世主的といったこの政治手腕が、人気のある理由ではないかと思います。このことにより、政治を見る国民の眼の中に、政治家への信頼感や期待感を作り出すことができたように思っています。


 民主党の新代表に鳩山氏が選任されました。この件は、我々自民党議員も無関係ではないという思いで見守っておりました。小泉首相の人気の秘密は、自民党が三党連立を組んでいるにも拘らず、野党である民主党の半数は自分の味方であるような発言をするように、幅広い選択肢を持っていることを堂々と述べるところにあると聞いたことがあります。そのため、もし菅氏が代表に選任されていれば、弁の立つ非常に有能な方ですから、自民党との対立路線をより鮮明にしたかもしれません。その結果選挙ムードが高まり、つば競り合いの中で早期の解散総選挙を迎えるという選択肢もあったかもしれません。では鳩山氏が代表の下で、いつ選挙が行われるかを考えてみます。来年九月、小泉首相は任期満了を迎えます。まずはこの時点の小泉首相の支持率によって、選挙時期が左右されるでしょう。
 昨年暮れに自民党総裁選挙の規程が改正されました。以前の総裁選挙では「総取り方式」といって、一位の得票者がその県の代議員の全票数を得る方式であったため、小泉氏のように国民的人気の高い人物は、仮に国会議員の中に支持者が少なくても総裁になれる可能性がありました。しかし改正により「ドント方式」といって、得票数が候補者に比例配分される方式になりました。これにより、いくら国民的人気が高くても、議会でも多数の支持者を持たなければ総裁になれない仕組みとなり、国会議員票の影響が強くなることになりました。これでは小泉氏が次も問題なく勝てるという可能性は低くなり、むしろ国民にはあまり知られていなくても、議会内で大勢を占めている議員が総裁になる可能性が高まることになります。仮に小泉総理が解散権を行使し、自民党が選挙に勝てば、総裁選挙は不要になるかもしれません。このように考えれば、来年九月までに解散総選挙を行う可能性も十分考えられます。
 ところが一方、参議院選挙との兼ね合いもあります。現在参議院では自民党が過半数を占めておらず、三党連立を組み公明党や保守党の力を借りていますが、その力を自民党内に取り戻すチャンスが再来年の夏にやって来ます。その際自民党としては、過半数を確保したいという宿願があります。このため、参議院候補者としては衆参同日選挙を望むのが本心ではないかと思います。先般の北朝鮮訪問により、国民の小泉政権への支持率が七割を超えたとも聞いており、今後この局面において大きな失敗がなければ、このような展開も有り得ると考えています。


 しかしただ一つ、経済の回復という条件が付きます。現在、日本は大変な不況です。この不況を打開するには、私は二つのことを行えばよいと思います。一つは減税先行の大幅減税で、対象の一つは土地や住宅など不動産に関する税制の緩和です。例えば現在、不動産譲渡取得課税は税率が二十六%ですが、私は三年間などと期限を決めて無税にするほどの大胆な対処をしても良いと思います。無税は無理だとしても、半分程度の引き下げは考えてもらいたいのです。証券税制にしても同様で、日本ほど課税率の高い国はないので、欧米諸国並みに下げれば良いと思います。最近、株価の低迷のために不況と見られがちな米国ですが、基本的には好況です。その一番の原因は不動産で、住宅ブームなのです。住宅がもっと建つようになれば、日本も十分な好況が享受できるように思います。そのためには、贈与税の大幅緩和も必要かもしれません。自民党では、住宅を建てる際の非課税限度額を、現在の五百五十万円から三千万円に拡大することを求めています。速やかな実行を求めるも財務省は大反対ですが、せめて二千万円程度でも実行すればよいと思います。住宅が建つと、その部品は一万個とも言われるため、各界にその恩恵が及ぶでしょう。是非これらの分野の減税を行いたいと思っています。不足部分は緊急的な特例公債として扱い、三十兆円枠にとらわれず国債を発行すればよいと考えています。
 二つ目には、大型の補正予算を組み、全国に仕事を与えることが必要です。お金がない、仕事がないというのが今の不況の特徴であるため、これを元気付けるためのカンフル剤として財政投資をすれば良いのではないかと思います。また公共投資かと思われるかもしれませんが、私は必要な公共工事は行うべきだと考えています。公共事業に重点を置くのはおかしいと言う小泉首相の意見に反しているわけではありません。小泉政権ではこの一年数ヶ月間、大変な緊縮財政を行ってきました。私はこのことが日本経済の体力強化に大変役立ったと思っています。竹にも節があり木にも年輪があるように、一度締めないと財政投資の効果が発揮されないのが経済の体質だと考えています。今の日本経済は、ちょうど空梅雨のような状況でしょう。今雨が降れば、地中に十分しみ込み、やがて日本経済の活性化に繋がることと思います。具体的には十兆円規模の補正予算を組みたいと考えており、前述の大幅減税と公共投資によって日本を活気付ければ、必ずや好況が訪れると信じています。日本経済をリードしてきた企業は、今大変なリストラを行っています。厳しい面も多く抱えているでしょうが、収益の上がる良い体制作りが進んでいます。これにより来年の三月には、好決算を出す企業が増えてくるのではないかと思います。
 このように、小泉政権の経済対策に誤りがなければ、この政権は五年は続くのではないでしょうか。構造改革を唱える小泉氏の舵取りは、細かいことは別として大きな方向性は間違っていないと思います。ただ、皆様の視点から見た「構造改革」には分かりにくい面があるかもしれません。これは小泉政権の責任かもしれませんが、なぜ改革が必要かを十分に説明できていないからだと思います。この点については、現政権が十分に説明する必要があります。


 先日の経済産業関係の部会において、各業界の代表の方々にお会いしました。中でもベアリング業界の代表の方によると、現在ある部品を日本で作るのに、どれだけ節約しても八円かかるものが中国では三円、ドイツでは四円で作れるそうです。三円と四円なら競争できるが、三円と八円では競争できないという話でした。ドイツと日本では、技術水準や給与水準は変わりません。しかしまずガソリン代を考えると、ドイツは日本の三分の一程度です。電話代や郵便代も日本の三分の一から半分程度であり、高速道路は無料です。このような諸々のコストが生産コストに積み上げられ、同じ先進国でありながらも日本は圧倒的に不利な立場に立たされています。せめてドイツ並みのローコストで生産できるようにしなければ、加工貿易を生命線とする日本は将来的に立ち行かなくなります。無駄があれば徹底的に排除し、民営化が良ければ採用するという措置が必要です。民営化が大前提ではなく、将来の日本のあるべき姿を考え、望ましい方向に持って行きたいという考えをご理解頂きたいと思います。
 小泉首相の唱えた改革は、まだ二割から三割程度のところでしょうか。改革には十年はかかるでしょうし、成功するためには好景気という背景が必要です。クリントンやサッチャー政権の改革が成功したのも好景気に恵まれたからです。いずれにしても今、日本経済を元気付けなければならないと思っています。以上、簡単ですが私からの近況報告とさせてさせて頂きます。



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