平成14年11月19日 155-衆-財務金融委員会-8号
IMF経済体制と日本の対応について(竹中大臣、塩川大臣との質疑応答)


○竹本委員                   
 少し時間をいただきましたので、日ごろ考えております幾つかの問題について、両大臣、また関係者にお聞きいたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 この夏休みというか、国会閉会中に少し時間がありましたので、私は、コロンビア大学教授のスティグリッツという人が書いた、日本語訳では世界を不幸にしたグローバリズムという題になっていたと思いますけれども、原文と両方で読みました。

 言っていることは、IMF体制が世界を支配しているわけでありますけれども、その現実の適用が必ずしも開発途上国にうまく機能していない。むしろ、IMFの言うことをそっくり聞いた国、例えばタイとか、あるいはインドネシアとか、フィリピンもそうかもしれませんが、あるいは日本もそうかもしれない、割合今の経済が大変な苦境に立っておる。逆に、マハティールのマレーシアはこれに全く盾を突いたわけでありまして、そういう国が案外健全な成長を今なお続けておる。そういうことを見ると、やはりIMFの指導理念というものはすべての国に当てはまるものではない、そのような感じを書いておるわけでありますが、私も全くそのとおりじゃないかというふうに思いました。

 そういう目で今回の、日本の現下の大変な経済的苦境を見ますと、いろいろな疑問がわいてまいります。

 まず、大変な不良債権の処理を言われておるわけでございますけれども、その量もさることながら、何ゆえにこの不良債権を処理し、そしてそれを二年以内に半分まで処理するというわけでございますけれども、それだけ加速する必要があるのか、この点は竹中大臣に、ぜひもう一度確認のためにお聞かせいただきたい。国民の大多数は、なぜそれを急ぐ必要があるのかということについて十分な理解がいっていないんではないか、そんな感じもいたすわけでございますが、まず、この一点についてお聞きいたしたいと思います。


○竹中国務大臣                   
 不良債権問題の本質というのは、なかなか難しいといいますか、複雑であるというふうに私も思います。不良債権、不良とついていますから、何となくよくないという感じは皆さんお持ちになるわけですが、それがマクロ経済、経済全体にどのような悪い影響を与えるかということが割と専門家の間でも明らかになりましたのは、私は、そんなに以前のことではない、九〇年代半ばから後半ぐらいのことであろうというふうに思っております。

 基本的には、不良な資産を多額に抱える、これは、銀行から見れば不良な資産であり、同時に、借り手の企業から見ますと、なかなかお金を返せない、利子を払えない企業から見ますと、不良な資産と一方で過剰な借入金の存在を意味している、過剰債務を意味している。そういう状況下では、企業も銀行部門も新たなリスクがとれない。そうすることによって、経済の本来の発展力を発揮することができない。そういう状況が基本的な問題点であるというふうに思っております。

 具体的には、不良債権の処理によって、銀行の経営の健全化、非効率な部門の効率化を通じて、そうして初めて日本の経済を再生することができるというふうに考えるわけでございます。

 そうした観点から、総理の方からは、十六年度にこの問題を終結させるようにという大変厳しい命を受けまして、さらに不良債権問題の正常化を図るとともに、構造改革を支えるより強い金融システムの構築を目指してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  これは決して海外からどうこうということではなくて、まさに、日本の国のために、私たちの生活のためにこの不良債権問題を着実に解決に向かわしめなければいけないというふうに思っております。


○竹本委員                   
 そこで、この不良債権問題と対極の位置にあるのが、自己資本比率の問題であります。

 それで、この自己資本比率の計算の仕方でございますけれども、現在我が国がとっております計算方法によりますと、大体メガバンクと称されるところは、BIS規制の八%をオーバーして、一二%とか一一%とか、そういう数字がほとんどだと思います。ところが、先般、新聞報道によりますと、三菱銀行が今期通期決算で、だから来年の三月決算になるんだと思いますけれども、予測で千五百億円の赤字を計上したと。逆に、三井住友、あるいはUFJも数百億円の黒字を出しておる。では、赤字を出す三菱銀行と黒字を出すこの二行との間にそんなに財政内容に差があるのかというと、どうもそうじゃなさそうだ。

 そこで、よく実際に調べてみますと、ディスカウント・キャッシュフローというんですか、アメリカでとっている計算方法をとっているのが三菱であり、そして他の二行はそうではない、従来の日本の計算方法で自己資本を計算しておる。

 だから、二つの尺度があるわけでありまして、当然のことながら、より厳しいDCF方式をとった三菱の方が厳しい結果が出る。仮に他の二行について同じ方法をとれば、恐らくもっと厳しい赤字が出てくるんではないか、このように予測されるわけでありますが、なぜこのような二つの基準があるのか。

 現実にあるんだから仕方ないわけでございますけれども、ならば、日本の計算方式、現在の計算方式が国際的に認められているのであれば、その方法で計算し、我が国のメガバンクは規制の八%をオーバーしているから問題ない、そう言い切っていいのではないかと思うわけでありますが、そういうさなか、どうしてアメリカが採用しているDCF方式を我がメガバンクもまた採用しなくてはならないのか、あるいはしなくてもいいのか、それは自由意思によるのか、その辺のところを少し御説明をお願いしたいと思います。


○竹中国務大臣
 竹本委員から、ディスカウント・キャッシュフロー的な方法による資産の評価をどのように位置づけるのかというお尋ねがございました。

 冒頭で委員がおっしゃいました、各行の決算の数字というのは、まだ私たちは正式には承知をしておりませんので、一般論として申し上げたいというふうに思いますが、ディスカウント・キャッシュフローという言い方は、要するに、将来この企業がどのぐらいもうかるだろうかという、先を見越して、その先を見越した、これはキャッシュフローで見越すわけですが、それを今の価値に置き直したというものでありまして、これ自体がアメリカ的であるとかそういうことでは決してないというふうに思っております。具体的に、例えば日本のRCC等々で資産の評価をするときはこういう評価によっているわけでありますし、かつ、御指摘ありましたように、この方法が常に厳しい方法と言えるかどうかということも、それもそんなに定かではないというふうに思います。

 ただ、現時点で、例えば現時点でこれを売ったら幾らになるんだろうかとか、これまでと同じような確率でいろいろな損が出てきた場合にどうなるだろうかという、現時点ないしは過去のデータに基づいて判断するのがよいのか。ディスカウント・キャッシュフローというと、要するに、これからどれだけもうかるかという、前向きに見るのがよいのか。どちらの方が厳しいかというのはその置かれた状況によりまして、したがって違ってくるわけでありますけれども、やはりさまざまな形で構造が変わっていく中で、今までに基づくとこういう価値でありますというよりは、やはり将来に向かっていろいろ考えてみるとこのようにこの資産を把握しなければいけない、そういう考え方を積極的に取り入れていくということは、私は、やはり一般論としては、方向としては少なくとも考えるべきであろうかというふうに思っております。

 もちろん、これには技術的な困難さとか問題点とかが伴いますので、そういうものについてはきっちりと議論を専門家に重ねていただく。かつ、常にこちらの方法がいいということではない。しかし、原則としては、将来に向かってどのように企業の価値、資産の価値を見ていくかというのがやはり市場の評価につながっていく、市場の評価と近いところにつながっていくということを踏まえまして、今回の金融再生プログラムの中では、大口の、あるカテゴリーに属する大口のものについてはこういうものを原則取り入れてはどうかというふうにしたわけでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますが、これはひとつ市場の評価に近づけるための一つの工夫、工夫の一つであるというふうに御理解を賜りたいと思います。


○竹本委員                   
 お話のように、将来を見越した評価の方法の方がより妥当性があるんではないかとおっしゃいますと、そんな感じもするわけでございますけれども、この方式、どっちがいいかわかりませんけれども、我が日本の銀行にとって、自己資本比率の数字が低くなるような方法というのは対外的に極めてまずいんではないか。逆に、それだけ厳しい見方をしてもきちんと八%以上あるということは国際的信用につながるといえばつながるのかもしれませんが、その辺が、何ゆえにより厳しい方法をとる必要があるのか、その辺がちょっと私にはわからない、こういうことであります。

 そもそも、BIS規制というものは、国際的銀行取引において最低限これだけの自己資本を持った信用力のある銀行でないと国際のマーケットには入ってこれない、特に資金調達等はもってのほかだ、こういうことで決められた基準であるんだろうと思います。ならば、我が国の利益を考えれば、特に諸外国あるいは国際機関からその計算方法がおかしいと言われていなければ、あえてそれを修正する必要もないのではないか。ただ、計算の中で査定が甘いとかいうことがございますが、そういうことがあるのであればこれはまた別だと思いますけれども、他国あるいは他の機関からそれを修正しろと言われていなければ、従来の計算方法で堂々と国際的な開示につなげていけばいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。


○竹中国務大臣
 先ほども申し上げましたように、これが日本のやり方、これが諸外国のやり方ということでは決してないというふうに思っております。RCCでは資産の評価として積極的にこのDCFを活用しているわけでございますし、日本の銀行にも活用しているところがある。  今、日本の金融システムの強化を考える場合に大変重要なのは、これまでの評価とマーケットでの評価の間にやはり乖離があったのではないかということを、そこはそことして謙虚に再考することなのではないかというふうに思います。

 マーク・ツー・マーケットという言葉がありますけれども、そこは市場の評価を積極的に取り入れながら、しかしこれは基準、方法でございますから、やはり専門家に積み上げていただいて、しっかりと基準としてはつくっていかなければいけない。そういう日々の工夫の中で、やはり金融システムそのものが進化をしていくわけですし、そうした進化の中で本当の意味での強さが発揮できていくのではないのかなというふうに考えております。


○竹本委員                   
 国際市場の方は、そのようにマーケットが最終的には判断するということになるんだろうと思いますけれども、目を国内に転じますと、大変な不況で皆が苦しんでおるわけでございます。その国内の銀行は四%の自己資本比率ということを言われておるわけですけれども、そもそも、八%というのは、BIS規制というのは国際的な取り決めでありますが、四%でいいというのは日本国内で政府が決めたことだろうと私は思うわけでございまして、変な話、これが六%でもあるいは二%でもいいのではないか。

 つまり、開き直った言い方をいたしますと、日本経済がもし社会主義国であれば、銀行の業務形態について担保主義云々ということは余り言われない可能性もあるんではないか、つまり日本国の自由に判断できる領域ではないか。そうならば、今、現下のいろいろな中小企業の貸し渋りあるいは貸しはがし、こういった現状を見ますと、もう少し何かやりやすい方法があってもいいのではないか、つまり、国際的な基準と同じやり方で国内の金融、融資の機能を煮詰める必要はないのではないかというふうに思うわけであります。

 そういう意味におきまして、特に地域のリージョナルバンクといいますか、中小企業の相手をするところに対しては、担保を十分積まなくても融資ができるような仕組みを導入し、そしてそれをきっちりと実行していくことが今の大変な不況を救う一番いい道ではないか、このように思うわけであります。そういう意味で、金融庁の検査マニュアルの見直しということをぜひやっていただきたい。

 つまり、国際的取引は別として、国内取引については、少し担保が十分でなくても、企業の将来性あるいはそういったいろいろな成長性等を見ながら融資をするというようなこと、ダブルスタンダードと私は言っておるんですけれども、そういうことを検査マニュアルに導入してもいいのではないか、そのように思いますが、金融庁の方の御判断をお聞きいたしたいと思います。


○竹中国務大臣                   
 先ほどマーク・ツー・マーケットという言葉を使わせていただいたんでございますけれども、これは、より正確に言えば、グローバルな市場と直接関係をしているか、ないしは非常に強い関連性を持っている主要行の場合について、そういう基準なり目が大変求められているんだと思います。

 しかし、そのことは、裏を返せば地域に根差した中小の金融等、いわゆるリレーションシップバンキングについては、各国、各社会の風土、歴史的背景に根差した別のあり方があるということも意味しているというふうに考えております。したがって、金融再生プログラムの中では、このリレーションシップバンキングのあり方については、別途もう少し時間をかけてそのあるべき姿を議論したいという立場をとっているわけでございます。

 お尋ねの、担保主義にとらわれないで成長性等を重視するような融資が可能になるように、検査マニュアルの見直しが必要なのではないかという点でございますけれども、ぜひとも御理解を賜りたいのは、金融検査というのは、金融機関の健全性と適切性を確保するために、金融機関の自己責任に基づくリスク管理を前提に、自己査定の正確性、償却引き当ての適切性などリスク管理体制が適切に機能しているかどうかというのを確認するものでありまして、各金融機関の個々の融資対応、ここの取引先は担保ありなし等々を含めて、貸すべきかどうかという、これは経営判断の問題であるということであります。

 金融検査が、融資に対し、その担保を要求するかどうかとかそういうことは、金融機関の経営方針、金融姿勢にまで立ち入るということは適当ではないというふうに思っております。したがって、これは金融マニュアルの見直し等々の問題ではなく、やはり経営判断の問題なのではないのかなと。

 お尋ねのマニュアルに関しましては、特に中小零細企業等については、その技術力、販売力、成長力等総合的に勘案して、経営実態のより的確な把握を目的とした金融検査マニュアル別冊、中小企業編というのを公表したところでありまして、今その現場レベルでの周知徹底を図っているところでございますので、御心配のようなことが極力起こらないように、適切なマニュアルの運用と周知の徹底をしたいというふうに思っているところでございます。


○竹本委員                   
 その中小企業編が十分本来の趣旨を生かして機能し、貸し渋り、貸しはがしがないという状況になれば何も言うことはないわけですけれども、どうもそういうふうには必ずしもいかないんではないか。

 そこで、何とか中小企業を救う道はないかというふうに考えますと、そこに考えられるのが、やはり政府系の金融機関の活用ではないかと私は思うわけであります。もちろん、政府の方においては、各種金融機関の整理、統廃合ということを言っておられますし、私も必ずしも反対ではないわけでございますが、これだけの経済の危機的状況の中では、何とか現在ある政府系の金融機関を十分に活用して、そして中小企業に資金の流れを起こしてもらいたい、そんなような気がするわけであります。

 それを言いますと、特別信用保証で二十九兆ぐらい融資をいたしましたけれども、既に一兆五千億ぐらいのデフォルトが起きておる。恐らく数兆円のデフォルトが起きるんだろうと思いますけれども、しかし、現実に中小企業が困窮していることは事実なんでございます。そういう意味において、商工中金、あるいはセーフティーネット貸し付け等をやっておられる中小公庫、国民公庫、それから商工中金、こういったものをフル活用して、担保的には十分でないけれども事業の将来性がある、あるいは発展性がある、そういったところについては、望まれる融資をしていく道を積極的にとるべきではないか。

 そういう意味において、この緊急の時代でありますから、統廃合という問題を例えば三年間凍結をして、現在ある政府系の金融機関をフル活用することが現在とる対応としては一番ベストではないか、そのように思っておりますが、これは経済産業省の西川副大臣にぜひお聞きいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。


○西川副大臣                   
 今、中小企業政策に大変詳しい先生からのお尋ねでございます。

 例えば、中小企業向けの政府系金融機関の貸付制度の整備というものを鋭意進めているわけでございますが、商工中金におきましては、貸し渋り対応無担保保証つき制度というものを本年三月に創設をいたしまして、十月末までに一万三千件、金額にして六百十億円の利用実績を上げております。さらに、今月十一日から、今般の改革加速のための総合対応策を受けまして、その貸付限度額を三千万から五千万に引き上げる、こうしたところでございます。

 また、担保や保証人の提供が困難な場合が多い創業者の資金調達を支援するために、ビジネスプランが適切でございますれば無担保無保証人、本人保証もなし、こういう国民公庫の融資というものの創設を行いまして、創業融資制度、こういうふうに名づけておりますが、これも十四年一月から十月までに千八百七十五件の実績がございまして、六十一億六千万円の実績を金額的にも数えております。  このほか、政府系金融機関からの貸し付けにつきましては、担保徴求の特例措置というもの、これはセーフティーネット貸し付け、経営革新貸し付け等におきまして、貸付額の五〇%を限度といたしまして担保徴求の一部を免除する、こういう仕組みでございますが、これらを行ってきているところであります。

 長くなって恐縮でありますが、なお、信用保証制度につきましても、土地担保のみならずできるだけ違うものを、こう考えております。その一つとして、先生が創設にもお力を大いに発揮していただきました売り掛け債権担保の保証制度、これも当初少し説明不十分でございましたが、現在は三千五百件ほど、千四百三十億円ほどの実績を上げております。

 以上のようなことでございまして、御指摘のように、政府系金融機関の機能をフルに発揮して、現下の厳しい中小企業の資金需要に対応してまいりたいと考えております。  以上であります。


○竹本委員                   
 今お話しのように、売掛金債権にまで、それを担保としないと金が借りられないというほど、すべての中小企業はもう無担保状態なわけであります。これ以上融資をするとなると理屈がつかないというのが現状だろうと思いますので、何とか担保の規制の枠を広めてもらいたいというのが私の願いであります。

 もう一点、我々が現場におっていろいろ聞きますのは、かつて銀行あるいはその他商工ローン等もあるのかもしれませんけれども、高金利でバブルの末期ごろに借りた金をいまだに抱えて、毎月何百万と返さなきゃいけない、そういう人たちがすべてまともな仕事をしていた人たちばかりとは限らないわけでございますけれども、少なくとも事業自身には将来性があり、本人もやむを得ない事情のもとでそういうところへ手を出してしまった。しかし、そのために、業自身はうまくいっているけれどもなかなか金利払いに追われている、何とか借りかえをしてほしいという声があちこちの、ほかの我々の仲間の先生方もよくそういう陳情を受けるようでございますけれども、こういったことに対して、何とか救う道はないものかと思っておりますが、西川副大臣、いかがでしょうか。


○西川副大臣                   
 これも先生御案内のとおり、政府系金融機関は、運転資金でございますとか設備資金にはお金をお貸しいたすわけでございますけれども、ただいまのような借りかえにつきましては、この場でこういう御答弁を申し上げるのはまことに恐縮でございますが、できかねるというのが現在の状況でございます。

 日本銀行の調査によりますと、平成十四年三月の国内銀行貸出残高のうち、四百三十三兆円ほどございますけれども、貸出金利が五%以上のものは一・四%、一〇%以上の高金利のものは〇・三%となっておりまして、商工ローン初め二九%とか大変高利のものに手を出されている、こういう状況に至る前にもっときちっとした金融対策をするべきではなかったか、こういう御意見が与党の先生方、野党の先生方からあることは十分承知をいたしております。

 これはせっかくの先生の御質問でございますので、私の権限では十分なお答えができませんので、持ち帰りまして検討をする努力をしたいと思っております。


○竹本委員                   
 ありがとうございました。ぜひ御研究、御検討いただきたいと思います。

 最後に、塩川財務大臣にぜひお聞きしたいことがございます。

 それは、現下の経済体制、経済状況に対してどのように対処すれば経済が浮上するかという問題について、私なりの意見を述べさせていただきまして、財務大臣の御意見を拝聴できればと思う次第であります。

 私は、八〇年代の中ごろに登場しましたレーガン大統領、この方が八一年と八六年、二回にわたってやりました大変抜本的な税制改革、これがアメリカ経済を浮上させた、この事実。特に、所得税、法人税を大幅に引き下げたわけでございますが、所得税に至っては、十四段階で最高で七〇%の所得税がかかっていたのを最終的には一五%と二八%というふうに、ほぼ三分の一以下にしたわけでございます。所得税はそうですし、法人税も四六%から三四%、これも大幅に下げたわけでございます。その結果、ちょうど日本とのプラザ合意のころでございますけれども、大幅に経済が急浮上した。

 この経験を踏まえますと、今こそ日本は大幅な減税を税先行でやるべきだというふうに思います。それに伴う財源不足についてはどうするか。これは国債を発行してその手当てをしてもいいのではないか、そのように思っておるわけでございますが、税を減税いたしましても、きょう減税してすぐ翌日効果が出るわけではありません。きょう、あすの問題がございます。  そういうことを考えますと、どうしてもここで一日も早く補正予算を組んでいただき、そして、それも小さい規模ではなくて、ああそうかと思わせるような大きい規模。例えば、私は十兆円ぐらいと思っておりますけれども、そういう補正予算をできるだけ早く組んでいただくことが、この経済を浮上させる大きい一石を投じたことになるのではないか、このように思うわけでございます。  そう言いますと、小泉政権の方針転換かと言う人がいるわけでございますけれども、私は、竹にも節があり、木にも年輪があるように、この一年半、節約財政を強いてきたことは、財政投資が非常によくきく経済体質に日本経済は変わってきている、そういう功績が小泉政策の中にあったと私は思うわけであります。

 したがいまして、だぶだぶの財政投資をする中で十兆円ほうり込んでも大した効果はありませんけれども、今のように本当にからからの状態でありますから、そこにもし十兆円ほうり込めば、必ず経済は、地中深くしみ込んで、そして大きい花を咲かすのではないか、私はそのように考えておりますが、財務大臣のこの問題についての見通し、御意見をお聞かせいただきたい、そのように思います。


○塩川国務大臣                   
 十兆円の補正予算とは、非常に大きい要望でございますが、御希望でございますが、実は現在、補正は当然必要になってくると思っております。それは、十四年度税収が予想以上に未収が多いというか、減税がきいてきておるということでございますので、その分の補正をしなきゃならぬことと、それから、雇用とか中小企業に対するセーフティーネットの多少の予算も用意しなきゃならぬだろうというので、当然考えておるのでございますけれども、だからといって、この国会で提出をするほどの時間的な余裕が実はございませんので、予算を組もうといたしましたら、最低限四十日ぐらいの日数がどうしても必要でございますので、結局は来年一月の通常国会冒頭に提出させていただこうと思っております。

 ついては、その規模についてでございますけれども、御承知のように、日本は世界でも実は非常に注目されているような国債発行、要するに公的借金の多い国でございまして、国債の格付もこれだけじりじり下がってまいりました。そういたしますと、海外で事業をしております企業も、格付が落ちてまいりまして非常に困っておるという状況でございますので、国債の維持というものだけはやはり心得ていかなきゃならぬだろう。

 そこで、三十兆円を割ることについて、小泉総理もこれに対しては柔軟に対応すると言っております。けれども、何としても財政の基盤というもの、節度というものは守らなきゃならぬので、我々、二〇一〇年のプライマリーバランスを維持するためにはどういう格好の財政にするのがいいかということを考えております。

 それのグランドデザインに基づきまして、十五年度の本予算及び十四年度の補正予算について考えていきたいと思っておりまして、現在、与党と政府との間でこの話し合いをしております。それで、二十二日に、小泉総理から、補正予算に対する基本的な考え方、これを内閣に指示するということになっておりますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思っております。


○竹本委員                   
 どうもありがとうございました。これで終わります。

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